確かに、家事従事者は、家事を行うことにより現実に収入を得ているわけではありません。この点からすると、休業損害や逸失利益が認められないのではないかと思われるかもしれません。しかし、家事労働も、家族以外の者に頼めば一定の報酬の支払いが必要になるのですから、家事従事者は家事を行うことにより財産上の利益を挙げているということができます。
このような考え方から、家族のために家事を行う主婦や主夫のような家事従事者についても、休業損害や逸失利益の発生が認められるとされています。
そして、家事従事者の休業損害や逸失利益の算定については、女性労働者の平均賃金を基礎に算定されるのが一般的です。男性の家事従事者の場合でも、女性労働者の平均賃金を基礎に算定されるのが一般的なようです。
なお、家事従事者が、パート勤務や内職の仕事等をしている場合(いわゆる兼業主婦(主夫))のように、現実に収入を得ているときは、現実の収入額と女性労働者の平均賃金額のいずれか高い方を基礎として、休業損害や逸失利益を算定することになります。