被害者に事故前から持病があった場合、賠償金が減額されてしまうのでしょうか? | 【無料相談】群馬で交通事故に強い弁護士なら山本総合法律事務所

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被害者に事故前から持病があった場合、賠償金が減額されてしまうのでしょうか?

1.減額されるかどうかはケースバイケース

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その後遺症の発生が、交通事故の外傷のみによっては発生しなかったのではないか?もしくは、もともと被害者がかかっていた病気(既往症といいます)が後遺症の発生に影響しているのではないか?と考えられる場合、既往症による損害額の減額が主張されることがあります。

既往症があると必ず減額されてしまう訳ではない

今回のご相談のように、保険会社から既往症を理由に賠償額を減額すると言われた場合は、既往症の名称と、その既往症が自分の後遺症にどのような影響を与えているのか、なぜ減額したかなどについて、保険会社にきちんとした説明を求めます。その上で、保険会社の考え方が医学的に正しいかどうかについて、治療を受けている主治医の意見を求めます。

裁判になった場合

既往症が問題となるケースの場合、話し合い(交渉)では話がまとまらず、裁判に発展するケースは珍しくありません。

裁判になった場合、最終的に既往症があったかどうか、あった場合には、既往症の影響がどの程度かを判断するのは裁判所です。裁判所は、被害者の既往症の態様や程度を考慮した上で加害者に損害の全額を賠償させることが公平か否かという観点で、既往症により損害額を減額するかどうか判断します。

ですので、主治医の方に意見を求めた結果、保険会社の考え方が医学的に正しいということであったとしても、保険会社の言うとおりに損害額が減額されるとは限りません。

 

裁判例:減額されたケース

事故前から頸椎後縦靭帯の骨化(OPLL)が進行し、神経症状を起こしやすい状態にあつたところ、本件事故による衝撃を受けて頸部運動制限、頸部痛などの症状が発現したという事案です。

裁判所は、被害者の罹患していたOPLLが被害者の治療の長期化や後遺障害の程度に大きく寄与していることが明白であるとして、損害額を減額すべきと判断しました。

また、この裁判例は、「加害行為前に疾患に伴う症状が発現していたかどうか、疾患が難病であるかどうか、疾患に罹患するにつき被害者の責めに帰すべき事由があるかどうか、加害行為により被害者が被つた衝撃の強弱、損害拡大の素因を有しながら社会生活を営んでいる者の多寡等の事情」は、減額すべきか否かの判断には影響しないとしています。

(最判平成8年10月29日交民29巻5号1272頁)

 

裁判例:減額されなかったケース

その一方で、次の事案では疾患には当たらない身体的特徴が損害の拡大に寄与していたとしても、損害額を減額するべきではないと判断されました。

被害者は、平均的体格に比して首が長く、多少の頸椎の不安定症があるという身体的特徴を有していました。

裁判所は、「被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる身体的特徴を有していたとしても、それが疾患に当たらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の右身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできないと解すべきである」として、減額を否定しました。

(最判平成8年10月29日民集50巻9号2474頁)

2.素因減額とは

上記のような被害者側の既往症によって損害が発生・拡大した場合に、その被害者側の要因を考慮して損害賠償額の減額を素因減額といいます。

素因減額には既往症や持病のような身体的素因と、被害者の性格や心理的・精神的な問題による心因的素因とがあります。

3.素因額の立証について

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立証するのは誰か?

素因減額はそれが立証されることによって加害者側に有利に働くものですので、これは加害者側が立証する必要があります。

立証する内容はなにか?

加害者側は、素因減額として以下の内容を立証する必要があります。

  • 被害者の素因が、単なる身体的特徴(特性)にとどまらず、疾患に該当すること
  • 交通事故と素因とが相まって、損害が発生・拡大したこと
  • 素因減額をしなければ不公平であること
  • 素因減額の割合の根拠となる具体的な事情

4.素因減額と過失相殺の順序

過失相殺

素因減額過失相殺の両方が適用される場合、賠償額の算定の際にどちらを先に考慮をするか、どのように算定をするかが問題となります。

考え方としては、まず素因減額をし、その後の残額について過失相殺をするという方式と、素因減額率と過失相殺率を加算して一括で損害額を減額する方式があります。

一般的には、まず素因減額をした後に過失相殺をする方法がとられています。

5.既往症があるなら弁護士に任せると安心

弁護士

このようなケースで示談交渉を弁護士に依頼する場合、弁護士は保険会社側の根拠や主治医の意見を参考にしつつ、過去の既往症に関する裁判例を分析します。その上で減額が妥当であるかどうかを検討して相手側との交渉を進めます。

医学的・法的な知見を持っている弁護士に依頼すれば、不当に賠償額が減額されるような事態を防ぐ事になります。まずは一度ご相談される事をおすすめします。

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