執筆者弁護士 山本哲也
後遺障害診断書の作成は弁護士に依頼しましょう
後遺障害等級認定は主に書類で審査される
後遺障害の等級認定手続の際に、認定機関が参考にするものは、基本的に後遺障害診断書とそれに添えられた検査記録や診療録などの資料に限られます。患者本人と会って診察し、現在の状態などを直接聞くことはほぼありません(顔や体に傷跡が残り、その程度の確認が必要な場合等、特別なケースでは面談を行うこともあります)。後遺障害診断書が、その人にどのような症状が残り、これが「後遺障害」に該当するかどうかを判断する材料になるからです。
このように、書面審査によって等級の認定がなされるのが原則となるため、後遺障害等級の認定にあたり、審査機関に提出する資料の内容が大変重要となってきます。そして、何級が認定されるかによって、後の保険会社との示談交渉の際に、損害賠償額に大きな差が出る可能性もあります。
医師にどんな記載をしてもらうかが重要
以上で述べたように、後遺障害等級認定において、後遺障害診断書は重要な意味をもっています。後遺障害等級の認定を受けるにあたり、後遺障害診断書に、現在残っている症状を適切に記載する必要がありますが、記載の仕方なども重要となっています。
しかし、すべての医師が適切な後遺障害等級認定を受けるための知識があるとは限らず、医師の作成した診断書の中には、後遺障害認定をふまえた記載内容になっていないものも多くあります。
そのため、後遺障害診断書の作成にあたっては、どのような記載をしてもらう必要があるかの判断ができる、医学的知識にも精通した弁護士に相談することが重要となります。
また、後遺障害診断書は、交通事故によって負った怪我の治療を行った医師に作成を依頼する必要があります。接骨院や整骨院では作成ができませんので、注意が必要です。
弁護士に相談するときの注意点とは
適切な後遺障害診断書を作成してもらうために重要なポイントは、次の3点です。
- 定期的に通院し、診察の際にご自身の症状を漏れなく医師に伝えること
- 後遺障害診断書の作成時に、ご自身の症状を正確かつ確実に記載してもらうこと
- 完成した後遺障害診断書を確認して、症状についてきちんと記載されているか、他の記載も問題ないのかを確認すること
上記3点に留意して、医師に後遺障害診断書を作成してもらいましょう。
症状の記載漏れには注意しましょう。
医師によっては、後遺障害の症状や後遺障害診断書の記載方法についてあまり詳しくない場合もあります。
そのため、被害者の方が症状を訴えているにも関わらず、症状についての記載が簡略化されてしまったり、記載漏れがあった、というようなケースが実際には存在します。
修正や書き直しをしてもらえる?
後遺障害診断書に記載漏れ等があった場合、修正や書き直しができるかどうかは、作成した医師の判断になりますが、応じてもらえるケースが多いといえます。
ご自身の感じていらっしゃる症状が適切に記載されていない場合、医師に修正や書き直しを依頼することも適切な後遺障害が認定されるために重要です。
後遺障害の知識が豊富な弁護士に相談を
後遺障害診断書の作成前に専門家に相談することで、どのように症状を記載すべきかなど、適切な等級認定のための後遺障害診断書作成のサポートを受けることができます。
後遺障害等級認定の申請を考えている方は、後遺障害診断書を作成する前に、後遺障害についての知識が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。
「もう後遺障害診断書を作成してしまった」という方でも、申請時に添付する資料を工夫したり意見書を作成するなどして、適正な後遺障害等級認定の獲得を目指す方法もあります。当事務所では、作成済みの後遺障害診断書に関するアドバイスも行っていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。