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交通事故で骨折した場合の解決方法を弁護士が解説

交通事故で骨折すると、長期間の治療が必要になります。痛みや生活の不便だけでなく、「相手に十分な補償をしてもらえるか」と悩みをお持ちの方は多いでしょう。

交通事故で骨折した際には、相手方に治療費、休業損害、入通院慰謝料などを請求できます。完治せずに後遺障害が認定されれば賠償金が増額され、1000万円以上を受け取れるケースも少なくありません。

ただし、相手方保険会社等の主張通りに示談をすると、本来受け取れるはずの金額を受け取れなくなるリスクが高いです。賠償金に関する知識を持っておき、言われるがままにしないようにしましょう。

本記事では、交通事故により骨折をした方が悩みやすいポイントや慰謝料相場などについて解説しています。交通事故で骨折させられた方は、ぜひ最後までお読みください。

 

交通事故の骨折の治療方法

骨折の治療方法

交通事故では、運転中にハンドルに強くぶつける、歩行者が車にはねられるなどして骨折するケースがあります。骨折の部位や程度は事故態様により様々です。

骨折が疑われる際には、治療のためだけでなく、事故によるケガであると証明するためにも、まずはすぐに病院に行ってレントゲンやCT、MRIなどで状態を確認してもらう必要があります。

骨折の治療法は、大きく分けて保存療法と手術のふたつです。

保存療法では、ギプスなどで骨折した部位を固定し、安静にして骨が自然にくっつくのを待ちます。骨折の程度が軽い場合には、保存療法をとるケースが多いです。

骨折した部位や程度によっては、手術をしてボルトなどで固定する場合もあります。

いずれにせよ、骨がくっついただけでは治療は終わりません。元の状態に近づけるためにリハビリも行います。

 

交通事故での骨折の種類

そもそも骨折とは、強い外圧が加わって骨が壊れることです。骨折とひとくちに言っても、様々な種類があります。

閉鎖骨折(単純骨折) 皮膚の中で起きる骨折
開放骨折(複雑骨折) 折れた骨が皮膚を突き破って体外に露出する。感染症の危険性が高い
粉砕骨折 骨がバラバラに砕ける。症状が重い
圧迫骨折 上下方向の圧力を受けて骨が潰れる
剥離骨折 筋肉・腱・靭帯などが骨を引っ張って引きはがされる。痛みが小さく気がつかないことがある

交通事故での骨折でよくある悩み

治療の悩み

交通事故で骨折した方からは、次の悩みをよく聞きます。

治療費の支払方法

交通事故の治療費は、相手方が任意保険に加入している場合には、任意保険会社が病院に直接支払ってくれるのが一般的です。ただし、骨折で治療費が高額になりそうなときは、健康保険を利用するよう頼まれるケースがあります。

交通事故でも健康保険の利用は可能です。勘違いしている病院もあるようですが、「第三者行為による傷病届」などの必要書類を保険組合に提出すれば健康保険を使えます。

健康保険を利用すれば、自由診療に比べて治療費が少なくすみます。いずれ相手方に請求するにしても、治療費が少ない方が有利なケースもあります。

とりわけ、ご自身にも過失がある場合には過失分は最終的に自己負担となるため、健康保険により治療費を抑えるメリットが大きいです。また、相手方に治療費の支払いを打ち切られた後に、症状固定になっていないなどの理由で治療を続けるときには、健康保険を使う方が負担は小さくなります。

そもそも相手方が任意保険に加入しておらず、加害者本人に資力がなければ、事実上自賠責保険の限度額の範囲でしか賠償を請求できません。治療費以外の賠償金を少しでも多く支払ってもらうためには、健康保険を利用した方が有利です。

なお、業務中や通勤中の事故であれば、健康保険は利用できません。労災保険の適用対象になります。労災には、過失があっても治療費が支払われる、限度額がないといったメリットがあり、骨折のような重症のケースでは特に利用価値が高いです。

以上の通り、健康保険や労災保険を利用して治療費を支払う方がよいケースはあります。

 

休業補償

労災を利用するかを検討する際のポイントとしては、休業補償も挙げられます。

労災保険では、休業に対する補償として、休業補償給付が1日あたりの給付基礎日額の6割、休業特別支給金が2割の計8割の金額が支払われます。対して、任意保険における休業損害は全額(10割)分です。

労災保険と任意保険は併用できますが、支給調整がなされ同じ内容の給付は重ねては受けられません。ただし、労災の特別支給金(2割)については、支給調整の対象外です。しかも、任意保険の休業損害は突然打ち切られるケースがあるのに対し、労災では休業が必要な限りは補償を受けられます。

労災からは慰謝料が支給されないなど不利な点もあるため、自賠責保険・任意保険との併用により最大限の補償を受けるのがオススメです。

後遺障害認定

骨折した部分が完治すればベストですが、元通りくっつかない場合や、骨がくっついても何らかの問題が残る場合があります。事故前の状態に回復しないときは、適切な後遺障害等級の獲得が重要です。

後遺障害等級は、症状の部位や程度に応じて1級から14級に分かれています。認定を受けられるか、どの等級になるかによって、最終的に受け取れる賠償金の額が大きく変わります。

注意して欲しいのが、後遺障害等級が適切に認定されないケースがある点です。症状があっても、認定機関にうまく伝わらないと正しい等級が認定されません。必要な検査がなされていなかった、後遺障害診断書の記載が不適切であったなどの理由で、本来認められるはずの等級が認められないケースはよくあります。

医師は治療のプロですが、交通事故の後遺障害認定に精通しているとは限りません。適切な等級認定を受けるには、交通事故の取扱い経験が豊富で、後遺障害認定に詳しい弁護士に早めに相談・依頼しましょう。

交通事故で骨折した場合の慰謝料の相場

交通事故で骨折した場合の慰謝料の相場

慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償金です。交通事故により入通院した際には「入通院(傷害)慰謝料」、後遺障害等級が認定されれば「後遺障害慰謝料」を受け取れます。

交通事故の慰謝料額には、算定する主体によって「自賠責保険基準」「任意保険基準」「裁判(弁護士)基準」の3つの基準があります。

自賠責保険基準は、自賠責保険における支払い基準です。自賠責保険は最低限の補償を目的にしているため、金額は3つの基準の中で最低になります。

任意保険基準は、任意保険会社における内部基準です。公表はされていませんが、自賠責保険基準と同程度か、少し上乗せした程度の金額になります。

裁判(弁護士)基準とは、裁判をした場合に認められる金額であり、弁護士が請求する際に用いる基準です。他の2つの基準と比べて、大幅に高い金額となっています。

以下で、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の相場を基準ごとにご紹介します。

 

入通院慰謝料

自賠責保険基準では、入通院慰謝料は1日4300円です。「入通院期間」と「実際の入通院日数×2」のうち短い方を計算に利用します。骨折では通院頻度が低い場合もあり、「実際の入通院日数×2」が用いられて低額になるおそれがあります。たとえば、通院を4か月にわたってしても実際の通院日数が30日であれば、4300円×30日×2=25万8000円です。

任意保険基準は保険会社ごとに異なり、公開されていません。おおむね自賠責保険基準に多少の上乗せをした程度の金額になります。

裁判(弁護士)基準では、原則として入院・通院それぞれの期間によって入通院慰謝料が決まります。

入院 1月 2月 3月 4月 5月 6月
通院 53 101 145 184 217 244
1月 28 77 122 162 199 228 252
2月 52 98 139 177 210 236 260
3月 73 115 154 188 218 244 267
4月 90 130 165 196 226 251 273
5月 105 141 173 204 233 257 278
6月 116 149 181 211 239 262 282
7月 124 157 188 217 244 266 286
8月 132 164 194 222 248 270 290
9月 139 170 199 226 252 274 292
10月 145 175 203 230 256 276 294
11月 150 179 207 234 258 278 296
12月 154 183 211 236 260 280 298

(参考:「赤い本」別表Ⅰ、単位:万円)

たとえば、「入院なし、通院4か月」であれば90万円、「入院1か月、通院5か月」であれば141万円となります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、等級ごとに定められています。非公開の任意保険基準を除き、自賠責保険基準と裁判(弁護士)基準による後遺障害慰謝料額は以下の表の通りです。

等級 自賠責保険基準 裁判(弁護士)基準
1級 1150万円(要介護1650万円) 2800万円
2級 998万円(要介護1203万円) 2370万円
3級 861万円 1990万円
4級 737万円 1670万円
5級 618万円 1400万円
6級 512万円 1180万円
7級 419万円 1000万円
8級 331万円 830万円
9級 249万円 690万円
10級 190万円 550万円
11級 136万円 420万円
12級 94万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

裁判(弁護士)基準は、自賠責保険基準の2~3倍程度と高額になっているとお分かりいただけるでしょう。

逸失利益

後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料のほかに「逸失利益」を賠償金として受け取れます。

逸失利益とは、後遺障害がなければ将来得られるはずであった収入のことです。後遺障害によって労働能力が下がり、今後得られる予定だった収入が減少すると考えられるため、相手方に請求できます。

逸失利益は以下の式で計算されます。

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

基礎収入は事故前年の年収です。収入がない主婦・主夫や子どもについては、平均賃金を基礎収入として計算します。

労働能力喪失率は、等級に応じて以下の通りです。

後遺障害等級 労働能力喪失率
1級 100%
2級 100%
3級 100%
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

 

労働能力喪失期間は、今後働けなくなる年数です。賠償金は一括で受け取るので、今後想定される運用益を除くためにライプニッツ係数と呼ばれる数値で調整します。具体的な数字は以下でご確認ください。

 

以上の3つの数字を掛け合わせれば逸失利益を求められます。たとえば「40歳、年収600万円、8級」であれば「600万円×45%×18.327=4948万2900円」と計算できます。

逸失利益は高額になりやすいため、相手方から「後遺障害があっても収入には影響がない」などと主張されて争いになるケースが多いです。適切な額を受け取るために、弁護士への依頼をオススメします。

交通事故による骨折の解決事例

交通事故による骨折の解決事例

事例の概要

  • 依頼者:30代、会社員
  • 自動車を走行中、わき見運転をしていた加害車両がセンターラインを大きくはみ出して正面衝突した
  • 腰椎圧迫骨折により、約300日に及ぶ治療を余儀なくされた
  • 後遺障害11級認定後、相手方保険会社から賠償額の提示があったタイミングで、「提案額が妥当か相談したい」とお問い合わせがあり、相談のうえご依頼いただいた
  • 結果:依頼前790万円→依頼後1789万円に増額

後遺障害11級が認定されているにもかかわらず、相手方の当初の提案では、労働能力喪失率が12級相当の14%として計算されていました。脊柱の変形障害では、労働には影響がないと考えられて労働能力喪失率が低く見積もられるケースがあります。

しかし、依頼者の方は脊柱の変形に加えて腰痛もあり、労働に影響を与えることが明らかでした。そこで本来11級で認められる労働能力喪失率20%が妥当であると主張したところ、受け入れられました。将来にわたって腰痛が続くと考えられる点も認められ、労働能力喪失期間は当初の約4倍となりました。結果的に、逸失利益は当初の約460万円から約1164万円に増額しました。

加えて入通院慰謝料や後遺障害慰謝料についても裁判基準が妥当である旨主張し、増額されました。合わせると、当初の提案から1000万円近く増え、約2.2倍になっています。

裁判をせずに、交渉だけで大幅な増額に成功した事案です。

当該事例について詳しくは、以下でご紹介しています。

まとめ

弁護士

ここまで、交通事故で骨折したケースについて、注意点や慰謝料・逸失利益の算定方法などを解説してきました。

交通事故による骨折は深刻な後遺障害をもたらす可能性があります。しかし、適切に等級認定を受けられなかったり、相手方に不当に低額な賠償金を提示されたりするケースが後を絶ちません。適正な補償を受けるために、早めに弁護士に相談しましょう。

 

交通事故で骨折した方は、弁護士法人山本総合法律事務所までご相談ください。

当事務所は、群馬県内でも規模が大きい弁護士事務所のひとつで。群馬周辺の地域の皆様から交通事故に関する数多くの相談を受けて参りました。骨折についても数多くの解決事例がございます。

交通事故に関する相談は無料です。交通事故により骨折した方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

代表弁護士 山本哲也

代表弁護士 山本哲也

相手保険会社の勝手な低い示談金で泣き寝入りするところでした

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脊髄損傷の等級認定獲得に向けて撮影すべき画像とタイミング

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親切、丁寧でとても細かい気づかい、対応に感謝しております。

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