執筆者弁護士 山本哲也
加害者に「警察に届けたくない」と頼まれた。後で問題になる?
警察への届出をしないと被害者に不利になる場合があるので、加害者から「警察に届けないでほしい」と言われても、基本的に応じてはいけません。
交通事故による怪我は、発生当時は特に体に症状がなくても、1週間ほど経ってから頭痛がするので病院に行ったら脳内出血をしていたというようなことがあり得ます。交通事故証明書を発行してもらわなければ、事故による怪我の治療に相手の保険を使うことができないので、治療費は自腹になります。このように、後から予測しない損害が発生した場合、警察に届けていないと損をしてしまいます。
さらに、警察に届けずに被害者と加害者の間で示談を進めると、後から加害者が態度をひるがえして自分は悪くないと主張しても、証拠がないため被害者側が不利な示談交渉を強いられる恐れもあります。交通事故を警察に届けると、警察によって実況見分が行われるので、客観的な証拠が保存されます。
そして、警察に交通事故の届出をすると自動車安全運転センターで交通事故証明書を発行してもらえるようになります。