執筆者弁護士 山本哲也
衣服や洗面具、食器、新聞、雑誌などの費用も請求できますか?
これらの物を購入するのに要した費用は、交通事故で怪我をしなければ支出の必要がなかった費用ですから、基本的には加害者に請求することができるということになります。もっとも、これらの費用が本当に必要だったと言えるのかという問題もありますし、入院後も自宅で利用ができる物について費用の全額を加害者に負担させるのが相当なのかという問題もあります。
人身事故の被害者となり、大腿骨を骨折して入院しました。長期入院となり、衣服や洗面具、食器、新聞、雑誌などを購入し結構お金がかかりました。
こういった費用も加害者に請求することができますか。
交通事故で入院した場合、治療費以外にも様々な出費を余儀なくされる場合があります。
例えば、入院生活のために、衣服や洗面具、食器、新聞、雑誌などを購入することも多いと思います(いわゆる入院雑費)。
そして、これらの物を購入するのに要した費用は、交通事故で怪我をしなければ支出の必要がなかった費用ですから、基本的には加害者に請求することができるということになります。もっとも、これらの費用が本当に必要だったと言えるのかという問題もありますし、入院後も自宅で利用ができる物について費用の全額を加害者に負担させるのが相当なのかという問題もあります。
そのため、本来であれば、被害者の側で、購入した物につき支出した額やその必要性を示していくことが必要となり、必要かつ相当と認められる限度で加害者に請求することができるということになるはず。
しかし、このような方法は煩雑な上、実益にも乏しいという理由から、実務上は、入院1日当たりの金額を定額で認定し、それに入院日数をかけた額について被害者に請求することができるとする扱いが一般的です。そして、裁判においては入院1日当たり1500円として認定されるのが一般的です。