まず、加害者の過失が重大であったり、事故態様が悪質な場合があります。
例えば、飲酒運転、ひき逃げ、速度超過、信号無視、居眠り運転、無免許運転、わき見運転等の場合で、重大性、悪質性の程度を考慮して増額の有無、程度を判断することになります。
次に、加害者の事故後の態度が著しく不誠実な場合があります。
例えば、証拠の隠滅等の違法性の高い行為が増額事由にあたると認められることは多いですが、単に謝罪や見舞いをしなかった、あるいは責任を否定したとの一事をもって増額事由とすることには慎重にならざるを得ず、常識に反するような対応をしたなど著しく不相当な場合に限られると解されます。
裁判例においては、61歳の男性につき、加害者が忘年会で飲酒酩酊しながら自動車で帰宅する途中、高速道を一般道と錯覚して転回して逆走するという常軌を逸した運転行為により事故を発生させたこと、事故後残された被害者の病弱な妻が自殺を図ったこと、謝罪意思の表明の在り方において加害者に配慮に欠けた面があったこと等を考慮して、3600万円の死亡慰謝料を認めたものがあります(東京地裁平成15年3月27日判決)。