ライプニッツ係数とは何ですか? | 【無料相談】群馬で交通事故に強い弁護士なら山本総合法律事務所

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ライプニッツ係数とは何ですか?

1.ライプニッツ係数とは

計算機とブロック

ライプニッツ係数とは、将来得られるはずの金銭を前倒しして現在において一括で支払いを受ける際に、中間利息という過分な利益を控除するために使う指数です。

そして、交通事故においては、逸失利益という項目の損害を算定するときに、使用されることになります。

交通事故では、例えば被害者の方が事故によって亡くなったり、あるいは後遺障害が残ることで、将来得られたはずの収入を失う場合があります。このような場合、事故がなければ得られたであろう利益を損害として請求することができ、このような損害を逸失利益と言います。

この点、逸失利益を請求する場合、本来であれば、例えば数年あるいは数十年にわたり得るはずだった利益を、現時点において一括して支払うように請求することになります。そのため、将来得られたはずの金額が現時点においてそのまま支払われるとすれば、被害者側は、前倒しで支払われた金額から生じる利息の分だけ、本来よりも得をすることになります。

ライプニッツ係数は中間利息を控除するための係数

例えば、5年後に受け取る予定だったお金を今もらうとすれば、5年分の利息を控除しないと、被害者側が本来よりも得をすることになってしまうと考えられるのです。それゆえ、現在の実務上、解決時の一時金の計算にあたって、予めその利息分(年5%)を差し引いた金額にすべきものと考えられています(中間利息控除といいます)。

つまり、中間利息の控除とは、お金を預けて利息を受け取る場合と逆の考え方と言えます。

このような中間利息の控除を、簡単な計算で行うことができるようにするための数字が、ライプニッツ係数です。

【ライプニッツ係数 早見表】(被害者が18歳以上)

令和2年4月1日以降に発生した交通事故では、下記表のライプニッツ係数が適用されます。法定利率は3%です。

 

労働能力
喪失期間
ライプニッツ係数 労働能力
喪失期間
ライプニッツ係数 労働能力
喪失期間
ライプニッツ係数
1 0.9709 29 19.1885 57 27.1509
2 1.9135 30 19.6004 58 27.331
3 2.8286 31 20.0004 59 27.5058
4 3.7171 32 20.3888 60 27.6756
5 4.5797 33 20.7658 61 27.8404
6 5.4172 34 21.1318 62 28.0003
7 6.2303 35 21.4872 63 28.1557
8 7.0197 36 21.8323 64 28.3065
9 7.7861 37 22.1672 65 28.4529
10 8.5302 38 22.4925 66 28.595
11 9.2526 39 22.8082 67 28.733
12 9.954 40 23.1148 68 28.867
13 10.635 41 23.4124 69 28.9971
14 11.2961 42 23.7014 70 29.1234
15 11.9379 43 23.9819 71 29.246
16 12.5611 44 24.2543 72 29.3651
17 13.1661 45 24.5187 73 29.4807
18 13.7535 46 24.7754 74 29.5929
19 14.3238 47 25.0247 75 29.7018
20 14.8775 48 25.2667 76 29.8076
21 15.415 49 25.5017 77 29.9103
22 15.9369 50 25.7298 78 30.01
23 16.4436 51 25.9512 79 30.1068
24 16.9355 52 26.1662 80 30.2008
25 17.4131 53 26.375 81 30.292
26 17.8768 54 26.5777 82 30.3806
27 18.327 55 26.7744 83 30.4666
28 18.7641 56 26.9655 84 30.5501

 

【ライプニッツ係数 早見表】(被害者が18歳未満)

交通事故の被害者が18歳未満の場合は次の表を使用します。

なお、18歳未満の就労可能年数は一律で49年とされており、年齢に対応したライプニッツ係数を使用します。

 

被害者の年齢 ライプニッツ係数 被害者の年齢 ライプニッツ係数
0 14.9795 9 19.5449
1 15.4289 10 20.1312
2 15.8918 11 20.7352
3 16.3686 12 21.3572
4 16.8596 13 21.9980
5 17.3653 14 22.6579
6 17.8864 15 23.3376
7 18.4230 16 24.0377
8 18.9756 17 24.7589

 

2.ライプニッツ係数を使った逸失利益の計算式

例として、交通事故の被害者に後遺障害が残った場合の逸失利益を計算するときは、年収に、交通事故で失われた労働力と就労可能年数に応じたライプニッツ係数をかけて計算します。

具体的な計算式は次の通りです。

逸失利益 = 基礎収入(年収)× 労働能力喪失率(後遺障害等級ごとに5~100%) × 労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数 

 

基礎収入

基礎収入とは、交通事故に遭った当時の年収です。会社員であれば前年の源泉徴収票にある金額、自営業者や個人事業主は前年度の所得金額から算出します。

仕事をしていない学生や専業主婦については、政府の賃金構造基本統計調査の結果に基づいた「賃金センサス」にある平均賃金を当てはめて算出します。

労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害によって失われてしまった労働力で数値化したもので、等級によって目安が決められています。

例えば、むちうちによって後遺障害14級9号が認定された場合の労働能力喪失率は5%です。

寝たきりなどの重い後遺障害が残ってしまい、1級1号が認定された場合には労働能力喪失率は100%となり、後遺障害等級が高くなるにしたがって労働能力喪失率も大きくなります。

【労働能力喪失率の早見表】

後遺障害等級 労働能力喪失率 後遺障害等級 労働能力喪失率
1級 100% 8級 45%
2級 100% 9級 35%
3級 100% 10級 27%
4級 92% 11級 20%
5級 79% 12級 14%
6級 67% 13級 9%
7級 56% 14級 5%

ただし、後遺障害の症状によっては上記通りのパーセントが適用されないケースもあります。

特に、腰椎や胸椎の圧迫骨折によって後遺障害11級7号、6級5号、8級相当が認定された場合、「圧迫骨折による後遺障害は労働にそれほど影響がないのではないか?」と保険会社が主張し、労働能力喪失率を低く見積もろうとするケースは良くあります。

他にも、醜状障害と呼ばれる傷あとの後遺障害等級が認定された場合にも、仕事や家事などに影響が出るかどうかが争われるケースも珍しくありません。

このような場合には、個人ごとに後遺障害が仕事や家事に及ぼす影響を具体的に証明する必要があり、経験豊富な弁護士に依頼すべきケースであるといえるでしょう。

労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

労働能力喪失期間とは、交通事故による後遺障害の影響で労働能力が低下する期間です。

原則として、症状固定時から就労可能年数の67歳までの期間とされます。

30歳で症状固定となった場合、67歳から30歳を引いて37年間が労働能力喪失期間となります。

ただし、被害者が高齢で事故当時に67歳を超えていた場合には、平均余命の半分を労働能力とします。さらに、症状固定から67歳までの年数と、平均余命の半分を比べて長い方を喪失期間とする場合もあります。

平均余命は男女で異なり、毎年統計によって年数が出されています。実務では厚生労働省による「簡易生命表」を使って計算します。

労働能力喪失期間が分かったら、その期間に応じたライプニッツ係数を当てはめて計算します。

 

3.逸失利益の計算例

これまでの説明をふまえて、具体的に逸失利益を計算します。

35歳の会社員で、事故前年の年収が500万円だった場合

  • 14級9号

   500万円 × 5% × 4.5797 = 114万4925円

  • 12級13号

   500万円 × 14% × 8.5302 = 597万114円

 

弁護士基準について

上記で計算した逸失利益は「弁護士基準」と呼ばれる弁護士が使える基準によるものです。保険会社は、「独自の基準(任意保険基準)」か、「自賠責保険基準」を使用しているケースがほとんどです。

この3つの基準は弁護士基準が一番高く、次に任意保険基準、一番低いのが自賠責保険基準です。

保険会社が計算した逸失利益は低い基準を使っており、弁護士基準よりも低い金額である事がほとんどですので、提示された金額が適正なものであるかどうか、注意しなければいけません。

4.適正な逸失利益を払ってもらうために

以上のように、ライプニッツ係数を使用した逸失利益の計算は大変複雑であり、さらに保険会社が提示してくる金額は低い基準で計算した低額なものである可能性が高いです。

適正な逸失利益を支払ってもらうためには、適正な基準を知っておき、金額が適正かどうか詳しい専門家に相談する事が重要です。

インターネット上でも大体の金額を知る事はできますが、後遺障害の内容や、年収・職業・その他の事情によっても金額は変動します。

交通事故の取り扱い件数が多く、ノウハウを有した弁護士であればより詳しい情報を持っている可能性が高いでしょう。

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