執筆者弁護士 山本哲也
交通事故に遭ったときに必要な書類とは
ここでは、交通事故に遭ったときに必要な書類について解説します。
まずは、損害賠償請求するときに必要な書類について、その後に、弁護士に相談するときに必要な書類について解説いたします。
それでは、交通事故にあった被害者が自賠責保険への請求をするために必要な書類を確認します。
交通事故の被害に遭われた方は、多くの場合、加害者が加入している任意保険会社と交渉して、任意保険会社に対して保険金の支払いを請求することになります。しかし、交通事故については、任意保険とは別に、補償内容は異なりますが、強制保険である自賠責保険もあります。そして、被害者は、加害者が加入する自賠責保険会社に対して、自賠責保険の保険金を支払うように請求することも可能です。これを被害者請求といいます。
自賠責保険会社に対する被害者請求を行う際には、決められた書類を、決められた要式で作成し、それを提出することが必要です。
具体的には、保険金・損害賠償額・仮渡金支払請求書の書式を取り寄せた上作成します。また、交通事故現場を管轄する自動車安全運転センターへ申請し、交通事故証明書の交付を受けます。そして、事故状況等を記した事故発生状況報告書を作成します。
また、診断書・診療報酬明細書等、治療に関する資料も必要になります。さらに、休業損害の支払いを受けるために、必要な場合は休業損害証明書を作成してもらい、源泉徴収票も添付します。自営業者の場合には税務署・市町村発行の納税証明書、課税証明書、確定申告控を添付します。被害者の印鑑証明書も必要です。その他にも、いくつかの書類が必要になります。
このように、自賠責保険会社に対する被害者請求を行う際には、決められた書類を収集したり作成したりした上で送付する必要がありますので、よくご確認の上手続きを行う必要があります。
なお、被害者請求は、書類の準備を含め、弁護士があなたに代わって行うことも可能ですので、被害者請求をご検討されている方は、交通事故による損害賠償の実務に精通した弁護士にご相談ください。
次に、弁護士に相談する場合には、相談をする前に予め持参するものについて具体的にアドバイスがあると思われますが、次のような資料があると、より具体的で充実した法律相談を受けることが出来ると思います。
事故状況を把握する上で参考にする資料
- 交通事故証明書
- 刑事記録(実況見分調書、公判記録等)
※刑事記録を取り寄せていない場合は、事故について良く分かっている方が作成した事故状況の説明書(手書きで構いません)
お怪我の内容や損害額を把握するために参考にする資料
- 診断書
- 診療報酬明細書
- 自賠責後遺障害診断書
- 後遺障害等級認定票
- 事故前年度の源泉徴収票もしくは確定申告書の写し
- 任意保険会社から送られてきた賠償額の計算書
- 診断書や通院交通費明細書、休業損害証明書等などの保険会社に提出した書類の写し
このように、保険会社に提出した領収書や書類などは、あとで弁護士と相談する際に見せていただくと役に立ちます。保険会社から提出を求められた書類は、コピーを取ってから提出するようにすると良いでしょう。
この他にも、被害者の方もしくは同居の親族が保険に加入している場合、特約によっては弁護士費用補償特約、人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険、などで保険金の支払いを受けることができる場合があります。家族全員の損害保険の保険証券をお持ちいただくか、事前にご契約されている任意保険の担当者に問い合わせされると良いでしょう。
特に、弁護士費用特約は上限金額までは弁護士費用を保険会社が負担してくれる特約ですので、特約の有無を確認し、また、その事故の件で使用可能かどうか、確認される事をおすすめします。
上記の資料があれば、充実した法律相談が可能でが、ご相談者様の状況によって必要な書類が変わって来ますので、以下で状況別に解説します。
ケース1:事故直後の場合
事故から間もない場合には書類自体が揃わない事がほとんどです。
最低限、以下の書類をお持ち頂くと良いでしょう。
- 交通事故証明書(無い場合には事故の相手方、事故場所、事故日時が分かるもの)
- 病院が発行した診断書(写し可)
- 相手方保険会社の担当が分かる書類
ケース2:治療中もしくは治療終了になった場合
事故から数週間から数ヶ月程度経ち、ある程度治療を続けられている場合には以下の書類があると良いでしょう。
- 交通事故証明書
- 診断書・診療報酬明細書
- 施術証明書・施術費明細書
- 調剤報酬明細書
- 5保険会社からの示談提案が既にされている場合は、その提案内容が分かる書類
ケース3:後遺障害等級認定の申請をこれから行う、または既に行った場合
治療を続けても症状が改善しない場合には、後遺障害等級認定の申請を行う事もあります。
後遺障害等級認定について詳しく知りたい方は、こちらをご確認ください。
この段階ではケース2の書類に加え、以下の書類があるとより詳しい法律相談が可能です。
- 後遺障害診断書(写し可)
- 申請し結果が出ている場合は、後遺障害等級認定票及び別紙
交通事故の後、様々な書類が手元に増えて何を弁護士に見せればよいかわからないという場合は、ご依頼人が不要だと考えている資料の中に重要な書類が混じっている可能性があります。ご自分で必要な書類かどうかを判断せずに、できるだけ弁護士にお見せ頂くと良いでしょう。
また、ご自身が上記のどのケースに当てはまるか分からない方は、事前に必要書類を弁護士に確認されることをおすすめします。
資料の中には相手方保険会社に連絡してコピーを入手できるものもありますので、具体的に必要な資料や用意の方法等については、交通事故や後遺障害認定に精通した弁護士に相談される際にお尋ねください。