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交通事故の解決方法について

悩む男女

交通事故の解決方法を大きく分けると、示談による方法と訴訟による方法とがあります。

示談とは、被害者と加害者または保険会社との合意によって解決する方法です。一方で、訴訟とは、裁判所において被害者と加害者または保険会社とが主張・立証を行い、中立公平な立場にある裁判官の判断を仰ぐ紛争の解決方法のことを言います。また、訴訟を起こしている最中に裁判官からの和解案に両者とも承諾することを裁判上の和解と言います。

交通事故による損害の賠償については、まず示談交渉が行われるのが通常ですが、示談交渉がまとまらない場合には、調停が利用されることもあります。

この調停は、裁判所で、加害者と被害者の間に調停委員が入って話し合いをまとめる手続きですが、被害者・加害者の両方が申し立て得るものですので、ご質問のように加害者から申し立てられることもあります。

調停とは、このように話し合いの手続きで、訴訟のように裁判所によって強制的な解決がされるものではありません。

ですので、相手方の提案に応じたくないのであれば、無理に合意する必要はありません。合意に至ることができなかった場合には、調停が不成立となるだけです。そうなれば、通常は訴訟によって解決が図られることになります。

なお、調停については、理由なく出頭しない場合には、5万円の過料が科せられる場合があり得ます。実際には、この制裁が行われることはほとんどないようですが、不出頭の場合には正当な理由があることを裁判所に連絡する方が良いといえます。

このように、無理に合意して調停を成立させる必要は全くありません。

弁護士また、裁判まで進むと、弁護士を代理人にするのが一般的です。

法律では、訴訟費用は訴訟で敗訴した側の負担にすると決められているのですが、弁護士費用については、どちらが負担するかが法律で決まっているわけではありません。


一般に、不法行為に基づく損害賠償請求の場合には、被害者の側が勝訴すれば、加害者に対する弁護士費用の請求が認められる場合があります。そして、交通事故による損害賠償の請求は、不法行為に基づく損害賠償請求ですので、被害者が勝訴した場合には弁護士費用の請求も認められる場合があります。

実際、交通事故による損害賠償の請求においては、多くの場合には弁護士費用の請求が認められているといえます。

もっとも、これは実際にかかった弁護士費用を全額請求できるというわけではなく、他の損害額合計の1割を目安にした金額が認められるのが通常です。そのため、実際に弁護士に支払う費用が全て加害者に請求できるとは限りません。また、具体的事情によっては1割以外の割合になる可能性もあります

このように弁護士報酬を払う必要が生じるので、弁護士費用を懸念して裁判をためらう方がいらっしゃいます。しかし、任意保険会社が提示する低い賠償金額にしかたなく応じるより、多少の時間と費用をかけてでも裁判所で解決した方が納得のいく賠償額や被害回復を受けることができる場合が多いのも事実です。また、ご自身やご家族の方が加入されている任意保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用の心配をしなくても済む場合がほとんどです。

ここまで聞くと、弁護士費用特約が付いている保険加入者は全員訴訟を行った方が良いと思われえるかもしれませんが、示談に応じた方が良いケースもあります。

示談の方法ではなく訴訟の方法で解決する場合、弁護士費用及び遅延損害金(事故日から年5%又は年3%の割合に基づく利息)の一部(裁判上の和解の場合)ないし全額(判決の場合)を獲得できる可能性があるため、基本的には示談による場合よりも訴訟によって解決した場合の方が賠償額が大きくなる傾向にあります。

ただ、訴訟前の示談交渉の段階において、相手方の保険会社が訴訟によって解決した場合に予想される賠償額よりも高い提案をしてくることがあり得ます。

たとえば、過失割合について、訴訟によって解決する場合には、過去の裁判例や文献、存在する証拠等の記載に照らして、10%の過失があると判断される可能性が高いと見込まれるところ、訴訟前の示談交渉の段階で、相手方の保険会社が5%ないしは0%の過失で提案してくるという場合です。

このような場合には、訴訟によって解決する場合よりも、示談によって解決した場合の方が賠償額が高くなる可能性があります。

このように、示談による解決と比較して、訴訟によって解決する場合には、弁護士料や遅延損害金の一部ないしは全額が獲得できる可能性があるため、基本的には訴訟による場合の方が賠償額が高額になる傾向にありますが、訴訟前の示談交渉の段階で、相手方の保険会社が提案してくる内容によっては、訴訟によって解決する場合よりも示談によって解決した場合の方が賠償額が大きくなるということもありうるということです。

より詳しいことにつきましては、一度、交通事故の実務に精通した弁護士にご相談ください。

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