執筆者弁護士 山本哲也
子どもの顔に傷跡が…親が慰謝料を請求できる?
非常に重大な傷跡が残ってしまった場合には慰謝料請求できる場合があります。 「非常に重大な」傷跡かどうかについては、傷跡の場所、大きさ、程度などから判断されます。
交通事故によって大けがをしてしまい、顔や体の一部に傷跡が残ってしまうケースというのは珍しくありません。
ご自身のお子様がそのような状態になってしまった時、親としての慰謝料は請求できるのでしょうか?
群馬県高崎市の弁護士が解説します。
被害者本人は請求権がある
交通事故の被害者の傷跡が残ってしまった場合、被害者本人は、そのような後遺障害が生じたことによる精神的苦痛に対して、慰謝料を請求することができます。
親の慰謝料請求権は?
一方、そのような傷跡が自分の子に残った場合には、親も心を痛めてしまうことになります。
この点、子が死亡してしまった場合には、その父母が自分自身の精神的苦痛に対して慰謝料請求権を持つことが規定されています(民法711条)。
子の顔や身体に傷跡が残った場合に、親自身の慰謝料を請求することができるかが問題となります。
これについては、「子の死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛を受けた」として、被害者の親に慰謝料を認めた判例があります。つまり、子が亡くなった場合と比較できるくらいの精神的苦痛を受けた場合は、親が自分自身の慰謝料請求権を持つことになるのです。
非常に重大な傷跡が残ってしまった場合には請求が可能
子の顔や身体に傷が残れば必ず親の慰謝料請求が発生するわけではなく、非常に重大な傷跡が残ってしまった場合には慰謝料請求が可能になるのです。
「非常に重大な」傷跡かどうかについては、傷跡の場所、大きさ、程度などから判断されることになります。
親以外の親族の請求権
被害者の父母以外でも、被害者の配偶者や子、それと同視できるような関係にある近親者にも、自分自身の慰謝料を請求することができる場合があります。
慰謝料の目安
近親者の慰謝料については、被害者本人の慰謝料よりも少なくなるのが通例です。
一概には言えませんが、被害者本人が受け取る慰謝料の2割から3割程度が目安とされています。