執筆者弁護士 山本哲也
交通事故加害者の三つの責任とは何ですか?
交通事故加害者の責任は、その法的性質によって三つに分けられます。
1つ目は、「刑事上の責任」です。
この点、刑法には、「自動車運転過失致死傷罪(211条2項)」、「危険運転致死傷罪(208条の2)」などの規定が、道路交通法には、「酒気帯び運転等の禁止(65条)」などの規定があります。
2つ目は、「行政上の責任」です。
交通事故を起こした運転者が受ける免許停止、取り消しなどの処分を行政庁である公安委員会が行うものです。
刑罰との関連はないため、免許取り消し処分を受けたからといって刑罰の重さが影響を受けることはありません。
もちろん、逆に刑罰を受けたからといって行政処分に影響が出ることもないのです。
行政処分は点数制で、道路交通法違反によって点数が加算され、それが一定の点数に達すると免許の停止や取り消しの処分となります。
3つ目は、「民事上の責任」です。
民法や自賠責法に基づいて求められる責任で、被害者に対する賠償責任のことです。
民事上の責任は、国家による制裁である行政罰や刑罰とは別の、全く独立した責任なため、刑事責任や行政責任を果たした(又は逃れることも)と言っても、免責されるものではありません。