執筆者弁護士 山本哲也
交通事故による損害賠償における損益相殺とは何ですか?
「損益相殺」とは、被害者が不法行為によって損害を被ると同時に、同一の原因によって利益を受ける場合には、損害と利益との間に同質性がある限り、公平の見地から、その利益の額を被害者が加害者に対して賠償を求める損害額から控除することによって調整することをいいます。
控除の対象となるのは、損害賠償義務者による弁済、自賠責保険会社による損害賠償額の支払い(自賠法16条)などがあります。
社会儀礼上相当額の香典や見舞金等は、控除の対象となりません。
各種社会保険給付については、その性質により、損益相殺の対象となるものとならないものとがあります。
たとえば、労災保険法による特別支給金等(遺族特別年金、遺族特別一時金、遺族特別支給金など)は、損害填補を目的とする者でないこと、代位が生じないことなどから、控除の対象とならないとされています。
また、定額保険等(搭乗者傷害保険金、自損事故保険金、その他の各種定額の傷害保険金、生命保険金ほか)は、既に払い込んだ保険料の対価たる性質を有し、損害額・加害者の有無・既払いの賠償額などとは無関係に定額の保険金が支払われること、各保険契約の趣旨・内容等から損害填補性が否定されていることなどから、控除の対象とならないとされています。
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