◇入院雑費
入院すると、衣類や洗面具、食器などの日用雑貨を購入しなければならない場合があります。こういった出費も一定の範囲で損害賠償の対象となります。
実務上は、入院1日当たりの金額を定額で認定して算定するのが一般的です。「赤い本」と呼ばれる民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準では入院1日当たり1500円とされています。
◇交通費
受傷した本人が通院のために実際に支払った交通費については、原則として、その全額が賠償の対象となります。
ただし、タクシー代については、事故直後、負傷箇所が原因で歩行困難である、他に交通機関がない、公衆の面前に触れるのに精神的な苦痛を覚えるなど通院にタクシーを利用することが必要かつ相当であると判断される場合に限り認められます。
また、自家用車を利用して通院した場合には、実費相当額(ガソリン代や高速道路代、駐車場料金)が賠償の対象となります。
◇看護や見舞いに行くために支払った交通費
入院中に、看護やお見舞いのために家族が病院に来るのにかかった交通費については、家族付添費や入院雑費に含まれているから別途請求することはできないとする考え方や、看護のためであれば別途請求することができるとする考え方があります。
もっとも、いずれの考え方においても、家族が遠隔地に住んでおり、見舞いや看護を行うことが必要かつ相当と判断される場合には、交通費を別途請求することができるという点では一致していると思われます。
◇事故の怪我が原因で必要となった義足や車椅子などの費用
交通事故が原因で日常生活に支障をきたすようになった場合に、その支障を補う器具の費用は損害賠償請求の対象となります。後遺障害が残り、日常生活を送るのに将来にわたって、こういった器具が必要となった場合には、買換えによって将来かかる費用についても請求できます。
◇医師への謝礼
医師への謝礼に要した費用を加害者に請求できるかについては、見解が分かれているようですが、請求できるとしても社会通念上相当なものに限られます。