交通事故の被害者の中には、例えば怪我が重いために入院を余儀なくさせられてしまうこともあります。そのような場合、近親者が見舞いに訪れることがよくありますが、外国にいる近親者が見舞いのために帰国するような場合もあります。
このような場合の帰国費用、さらに、再び外国に帰るための交通費を、加害者側に請求できるかが問題になることがあります。
この問題については、最高裁判例があります。
それによれば、被害者の怪我の程度や、近親者が看護に当たる必要性等の様々な事情から見て、その近親者が被害者のもとに見舞いに行くことが常識に照らして相当と言える場合は、通常の交通機関の普通運賃の限度で請求することができます。帰国費用だけでなく、見舞いの後外国に近親者が戻るときの交通費も請求することが可能です。
このように、まず、見舞いの交通費を請求できるかどうかは、怪我の程度や、その親族が看護に当たる必要性等の様々な事情を考慮して決まります。例えば、被害者が重傷で入院しているような場合は交通費の請求が認められ易くなりますし、逆に軽い怪我しか負わなかったような場合には請求は難しくなるでしょう。
また、基本的には、通常使われる交通機関の普通運賃しか請求できないことになりますので、普通使われないような高額の交通手段を用いた場合には、一部が請求できなくなるおそれがあります。
なお、このようなことは、帰国の場合だけでなく、国内の移動の場合にも当てはまります。